今 進行中の「横須賀 秋谷の家」で試みた地層壁(版築壁)が遂に完成!

この仕上げは、初めての試みでもあり、
手間と予算が掛かる…そんな仕上げです。

実際の施工期間は4日〜5日。
この間は、他の工事を入れずに、
版築壁の施工だけにしました。

現場でのサンプル再確認から仕上がりまでの工程を簡単に紹介します。

実際の仕上がりとサンプルボード。


伝統的に行われてきた「版築」とは

1、まず柱を立て、板などを使い型枠をつくる。

2、次に板で挟まれたところに土をいれる。
小石や砂利、藁(わら)や粘土を混ぜて丈夫にする。
一層は10㎝より低くするほうがより丈夫になる。

3、たたき棒などで固く突き固める。
厚みがある場合は人力で踏み固めることもある。

4、板の高さいっぱいまで固めたら
板を継ぎ足すか、板をはずして次の型枠をつくる。

 (以上 「なには漆喰講座」 より)

といった工程で行われてきたものを、
今回の施工は「塗り版築」といって、
一般の壁の上からでも施工を可能にした、
左官で薄塗りしてその表情に近づける
「版築壁風」の仕上げです。










事前に色は決めていましたが、再度現場にて、色とパターンそしてテクスチャーをボードの上で打合せ〜調整をしながら
決めていきます。








サンプルボードで方向性を決め、
そして、実際に塗り始めてもらいます。

今回は、そのボリュームも大きいので、
広い面を通してどう見えてくるか、
全体的なバランスを見ながら、現場で確認していきます。

約10センチ〜20センチの
層の重なる部分は、この様にその都度
ライン養生をしながら、塗り重ねていきます。








そして仕上がりの感じはこんな様子。

まだ、完全に乾ききってない状態ですが、色はもっと薄くなってきます。

色の微妙な違い、砂利の大小の組み合わせ、砂や土の配合、層の大きさとうねり
これらが相まって、地層の様な表情が
感じられます。

この版築壁は一階から二階の階段室の
壁に仕上げたものですが、
やはりこのような大きな面で仕上げていく事で、より効果的です

手間と時間、そして費用を掛けた、
存在感とオリジナリティーの感じられる、とても印象深い仕上がりになりました。